労働災害SOS|みらい総合法律事務所

労災における後遺障害認定の落とし穴と対策法!

最終更新日 2024年 09月16日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠


労働災害(労災)に遭って怪我をすると、治療を受けても完治せずに後遺症が残ってしまうことがあります。

労災で後遺症が残ったら、症状の内容や程度に応じて「後遺障害」等級認定を受け、「障害補償給付」という労災給付金を受け取れる可能性があります。

しかし実際には労災で後遺症が残っても、後遺障害等級認定を受けられない人も存在します。

労働災害で適切に後遺障害認定される人とされない人の違いはどのようなところにあるのでしょうか?

この記事で包括的かつ網羅的に解説していきます。

労働災害(労災)の後遺障害とは

労災とは、労働者が業務に起因して病気になったり怪我をしたり死亡したりすることです(業務災害)。

通退勤の途中で事故や事件に巻き込まれた場合にも労災として認められます(通勤災害)。

病気や怪我、死亡が「労災」として認定されると、労働者は療養補償給付(治療費)や障害補償給付(後遺障害による逸失利益)など、さまざまな給付金を受け取ることができます。

労災によって後遺症が残ったケースでは、後遺障害等級の認定を受ける必要があります。

後遺障害等級認定とは、労災による後遺症を正式に「労災によって発生した後遺障害」として認定し、その内容や程度に応じて、14段階の等級をつける制度です。

労災による後遺障害とはいっても、その内容や程度はケースによってまったく異なり、補償の必要性や補償内容についても個別の検討を要します。

ただ、同じような障害が残った人には同程度の給付が行われないと不公平になることから、後遺障害を程度に応じて14段階に分類し、同じ等級の人は同じ給付を受けられるようにしています。

後遺障害の等級としては、1級がもっとも重い後遺障害となっています。

具体的には両腕を肩から失った場合、両眼を完全に失明した場合、日常生活を1人で送れなくなり、常時の介護が必要になった状態、植物状態になったケースなどが該当します。

反対に14級がもっとも軽く、たとえばまぶたの一部を欠損したり、まつげにはげた部分ができたり、軽い神経症状が残ったりした場合が該当します。

いずれの等級であっても、労災で後遺障害認定を受けると「障害補償給付」という一時金や年金を受け取ることが可能となります。

障害補償給付は、後遺障害によって労働者の労働能力が低下し、生涯年収が下がることが予想されるところ、その減収分を補填するための給付金です。  
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障害補償給付として受け取れる給付金の内容

障害補償給付による給付内容は、認定された後遺障害の等級によって大きく異なります。

大きな特徴として、1級から7級の場合には、毎年の年金を受け取れますが、8級以下の場合、一時金のみとなることが挙げられます。

また、後遺障害が残ったときに支給されるお金は、厳密に言うと障害補償給付金と障害特別支給金に分けられます。

1~7級の場合、障害補償給付金は年金方式となりますが、障害特別支給金は後遺障害認定を受けられたときに1回支給されるのみです。

8~14級の場合には、どちらも一時金方式となります。

以下では、それぞれの等級を認定されたときに、どの程度の障害補償給付金が支給されるのか、等級ごとに示します。

※給付基礎日額というのは、労働者の被災前の1日当たりの平均賃金です。

【参考】厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-8-02.pdf  

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労災で後遺障害認定を受ける方法

次に、労災に遭ったときに後遺障害認定を受ける手順をご説明します。

症状固定するまで治療を継続する

後遺障害認定を受けるためには、まずは治療を受けなければなりません。

症状の状態が落ち着かない限り、後遺症が残ったかどうかの判断ができないからです。

それでは、いつまで治療を続ける必要があるのでしょうか?

労災後の治療は「症状固定」するまで継続します。

症状固定とは、それ以上治療を実施しても、症状が改善しなくなった状態です。

たとえば関節が固まって動かなくなったときにはリハビリによって改善していきますが、ある程度リハビリを継続しても改善がみられなくなったら、「症状固定」としてそのときに残っている症状を後遺障害ととらえます。

症状固定は、医学的な判断事項なので、治療を受け持っている医師が時期を決定します。

後遺障害認定を受けるための資料を集める

症状固定するまで入通院治療を続けたら、後遺障害認定申請の準備を始めましょう。

労災で後遺障害認定を受けるためには、さまざまな資料が必要となります。

まず、後遺障害診断書が必須です。

後遺障害診断書とは、後遺障害の内容に特化した診断書です。

労災認定に専用の書式があるので、それを使って医師に作成してもらう必要があります。

また、他にも症状の内容や程度を示す検査結果等の資料が必要です。

さらに、後遺障害認定の確実性を高めたいときには、単に診断書と申請書を提出するだけではなく、主治医に医学的な見地からの意見書を作成してもらったり、弁護士に依頼して「なぜ後遺障害に該当すると言えるのか」説明するための書類を用意したりすることも効果的です。

労働基準監督署に申請をする

資料を揃えたら、労働基準監督署に対し、障害補償給付の申請をしましょう。

この時利用する申請書の書式は、業務災害のケースと通勤災害のケースで異なります。

業務災害の場合には、様式10号の「障害補償給付支給請求書」、通勤災害の場合には様式16号の7の「障害給付支給請求書」を利用します。 ところで障害補償給付の申請書には、勤務先の事業所が記入して証明すべき欄があります。

会社が労災申請に協力的な場合には問題ありませんが、現実には「そもそも労災ではない」と主張したり、手続きに非協力的であったりする雇用者も多いです。

そのような場合、事業所記入欄を空けたままでも労災申請できます。

代わりに「会社が協力しないので、記入不可」などと書いておくとよいでしょう。

後遺障害等級の審査が行われる

労基署に給付金の申請書と診断書等の資料を提出すると、事故内容や後遺症の有無や内容、程度などについて、調査が開始されます。

労災の後遺障害認定の手続きでは、被災した労働者本人と調査員との面談が実施されます。

また、会社や病院などへの照会も行われるので、医師による回答結果なども判断に影響を及ぼすこととなります。

後遺障害等級が認定される

労基署による調査が終了すると、得られた結果にもとづいて、後遺障害認定基準に該当するかどうか、判断されます。

労災の後遺障害認定基準に合致する症状が現実に存在し、それが労災によるものであることが明らかになったら後遺障害認定を受けられます。

反対に、症状がなかったり後遺障害認定基準に合致しなかったり、あるいは労災と症状との因果関係を否定されてしまったりすると、後遺障害として認定されません。

後遺障害が認められなければ、障害補償給付を受け取ることは不可能です。

また、後遺障害として認定されたとしても「等級」が問題になるケースがあります。

後遺障害の等級は1級から14級まであり、同一部位の同系列の症状でも、程度によって認定等級が異なるからです。

たとえば神経症状を例に挙げます。

神経系統の障害によって1人では日常生活もできなくなり、常に介護を要する状態となったら、後遺障害の等級はもっとも重い1級となります。

常時介護までは不要であっても、随時の介護が必要な状態となったら2級です。

介護がなくても一応自分で日常生活ができる状態であっても、一生働けない程度の障害が残った場合には3級が認定され、一応労働ができるけれども、特に軽易な業務しかできない場合には5級になります。

神経系統の後遺障害でもっとも低い等級は「神経症状を残すもの」としての14級となっています。

このように同じ神経症状でも、立証の程度によって認定される等級が異なってくる可能性があります。

上記で説明した通り、後遺障害に対する給付金の金額は、等級が上がるほど高額になるので、労災で後遺症が残った場合にはできるだけ高い等級の認定を受けることが大切です。

審査請求や訴訟も可能

後遺障害認定を申請しても、認定基準に該当する症状がないと判断されたり、期待していたよりも低い等級認定となってしまったりすることはあります。

審査請求について そのようなときには、認定通知を受け取った後3か月以内に、労働者災害補償保険審査官に対し、審査請求をすることができます。

審査請求書は、都道府県労働局宛に提出します。

すると再度、後遺障害についての判断が行われ、認定結果が変わる可能性があります。

ただし、同じ主張を繰り返しても判断は覆らないので、判断を変えるには、労基署には提出していなかった新たな医証等の資料が必要になります。

労災保険審査請求制度について、詳しく知りたい方は、以下のページを参考にしてください。

【参考記事】厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000127192.html

再審査請求について 審査請求によっても認定結果が変わらなかった場合には、決定があってから2か月以内に労働保険審査会に対して再審査の請求をすることができます。

訴訟について 再審査によっても結果が変わらなかった場合、再審査に対する決定(このことを「裁決」と言います)があってから6か月以内に、裁判所に対して訴訟を申し立てることが可能です。

また、審査請求にもとづく労働者災害補償保険審査官の決定に不服がある場合、労働保険審査会へ再審査請求する段階をとばして、直接訴訟を提起して争うこともできます。

行政機関は裁判所の判断に従うので、裁判所が労基署や労働者災害補償保険審査官、労働保険審査会の判断が間違っていると判断すれば、労災の後遺障害認定を受けることができます。

そして、認定された等級に応じて年金や一時金が支給されます。
審査請求や訴訟については、ご本人では難しいでしょう。弁護士に相談し、審査請求が可能か、訴訟が可能か、などについて相談することをおすすめします。相談は、こちらから。

適切に後遺障害認定されるために必要なこと

労災の後遺障害は、1級から14級までの14段階に分類されています。

そこで、労災で適切に後遺障害認定を受けるためには、どのようなことが必要なのか、みていきましょう。

後遺障害等級の認定基準を把握する

まずは、労災の後遺障害等級の認定基準について正確に理解していることが必要です。

労災によってなんらかの症状が残ったとしても、その症状が後遺障害認定基準に合致していなければ後遺障害として認定されません。

自分のケースでどのような後遺障害になるのか理解できていないと、医師に後遺障害診断書を作成してもらうときにも、どのように作成してもらいたいのか、適切に説明することができませんし、症状について説明するための意見書なども依頼できないでしょう。

また、実際に等級認定の通知を受けたときにも、認定基準を把握していなかったら、その結果が妥当なのかどうかもわかりません。

本来よりも等級が低くなっていても、気づかないまま低額な給付金しか受け取れなくなってしまう可能性があります。

後遺障害を的確に証明する

後遺障害認定を受けるためには、後遺障害認定基準に合致する症状の証明が重要です。

どんなに酷い症状が残っていても、それが存在することが明らかにならなければ、労災による後遺障害としては認められないからです。

後遺障害の症状を立証するためには、検査を受ける必要があります。

特に重要視されるのは、レントゲンやCT、MRIなどの画像記録です。

これらに骨折や組織、血管の異常など、はっきりとした他覚所見が写っていたら、比較的、後遺障害認定を受けやすいです。

また、労災事故と症状との因果関係の証明も重要です。

いかに後遺障害基準に該当する症状があっても、それが労災とは無関係な事情によって発生したと判断されたら労災の後遺障害認定を受けられないからです。

このことは、特に労災前からの「既往症」がある方の場合に問題になりやすいです。

既往症とは持病のことですが、既往症によって症状が発生しているのであれば、労災による後遺障害とは言えないからです。

しかし、多少の既往症があっても必ずしも非該当になるとは限らず、労災の後遺障害として認定を受けられる可能性もあります。

また、持病の中には自覚症状がないものもあり、労災申請するまで本人すら気づいていなかったということも多々あります。

その場合、自分の既往症がどこまで問題になるものか把握して、後遺障害認定に影響を与えるものでないならば、そのことを的確に説明する必要があります。

そこで、画像検査などによって既往症ありと判断されたときには、非該当にならないように、きちんと労基署に説明するための準備を進める必要があります。

後遺障害認定を適切に受けられる人と受けられない人の違い

同じように労災に遭って後遺症に苦しんでいても、後遺障害認定を受けられる人と受けられない人がいるのは事実です。

以下ではその違いについて、ご説明します。

後遺障害認定基準を理解している

後遺障害認定を受けられる人は、労災の後遺障害認定基準について理解しているものです。

自分がどの等級のどの後遺障害に該当するのかを把握しているので、その後遺障害を立証するために有効な資料を的確に収集し、労基署との面談の際にも症状を適切に説明することができます。

自分の後遺障害の内容を理解できていなかったら、どのような検査を受ければいいのか、労基署にどのようなことをアピールしたらいいのかわからないので、証明が的外れになってしまう可能性が高いです。

自分一人で労災認定基準の内容を正確に把握するのが難しい場合には、労災事件に強い弁護士に労災申請を依頼すると効果的です。

弁護士にも得意分野と不得意分野がありますので、どの弁護士でもよい、というわけではありません。

労災認定基準をよく理解している、労災に強い弁護士に依頼することが大切です。

労災について弁護士に相談するメリットとデメリットを知りたい方は、こちら。 労働災害(労災)で弁護士に依頼した方がいい5つの理由

そして、その判断内容にもとづいて後遺障害認定申請を進めるので、結果的に高い等級の認定を受けやすくなります。

きちんと検査を受けている

労災で後遺障害認定を受けるためには、必要十分な検査を受けることが必要不可欠です。

精度の高い医療機器のある医療機関を受診する 労災の後遺障害等級認定の場面では、MRIやCTなどの画像検査が重要です。

こうした医療検査機器には性能の違いがあります。

効果的に症状を立証するためには、なるべく精度の高い医療機器を導入している病院で検査を受けることが必要です。

画像の中でも特に重視されているMRIは「テスラ」という単位で精度を表現します。

現在の主流は1.5テスラですが、3テスラの高い解像度の機器を導入している病院もあります。

高い解像度の機器の方が、異常所見が撮影されやすいことは言うまでもありません。

反対に、解像度の低いMRI機器で異常を把握できないまま何の対応もとらないと、後遺障害等級認定を受けられません。

必要な検査を受ける 後遺障害を立証するためには、画像検査だけでは足りないこともあります。

たとえば神経症状の後遺症が発現しているとき、CTやMRI撮影をしても、明確な他覚所見を得られない場合もあります。

画像による他覚所見を得られないと、その時点で後遺障害等級認定を諦めてしまう方がおられますが、それでは後遺障害等級認定を受けられません。

筋電図検査や腱反射テストなどの神経学的検査によって症状を証明できる可能性があるので、そうした他の検査を試してみるべきです。

このように、ケースに応じた適切な検査を受けて、労基署にその結果を的確に提出できる人は後遺障害等級認定を受けやすいです。

反対に、必要な検査を受けないまま申請をしても、後遺障害等級認定は得られません。

適切な医証を獲得している

後遺障害診断書について 後遺障害等級認定申請をするときには、労災用の後遺障害診断書が必須です。

後遺障害診断書の記載内容は、審査において非常に重視されているので、医師に作成を依頼するときには慎重に対応しましょう。

具体的な内容は医師が判断して記入しますが、患者である労働者側としてもできることがあります。

まずは、どのような自覚症状があるのかを医師に正確に説明して理解してもらうことが重要です。

その過程を経ずに、医師に診断書の書式を渡して丸投げしてしまうと、認定を受けにくくなる可能性があります。

後遺障害診断書以外の医証について 後遺障害診断書以外の医証(医学的な資料)もできるだけ多く集めましょう。

有効なのは、医師による意見書です。

難しい症状がある場合や立証が不十分であると指摘されそうなケースでは、診断書記載内容以外にも、主治医としての意見を書面にまとめてもらい、提出することによって証明を補完できる可能性があります。

適切に治療を受けている

正しい後遺障害等級認定を獲得するためには、治療の受け方(通院方法等)も問題になる可能性があります。

たとえば、日頃忙しくしている方や通院を面倒に感じる方の場合、まじめに通院をせず、1週間や2週間に1回や、1か月に1回程度しか病院に行かないこともあります。

しかし、それでは後遺障害等級認定を受けにくいです。

通院頻度が低いということは、治療の必要性がないと判断されて「完治しているのではないか?」と思われてしまうからです。

通院治療を行うときには、たとえ他の用事が忙しくても、さぼらずに必要な治療を受けることが大切です。

労基署による調査への対応方法について

労基署に対する申請方法や調査への対処においても、差が出ることがあります。

たとえば、申請時に、後遺障害診断書と最低限の検査結果、給付金の申請書しか提出しない人と、それにプラスして後遺障害に該当することを説明する理由書、意見書などを提出する人とでは、後者の方が認定を受けやすいです。

また、労基署において面談が行われるときに、質問に対して的確に回答し、後遺障害が残っていることを適切に説明できる人の場合、後遺障害が認定されやすくなります。

反対に、労基署への対処が不十分になると、本当は後遺障害が残っていても見逃されてしまうおそれもあります。

訴訟の使い方

労災の後遺障害認定を却下されたときには、審査請求や再審査請求ができます。

しかし、同じ行政機関である労災保険審査官や労災保険審査会に審査(再審査)請求をしても、判定が覆る可能性は高いとは言えません。

これに対し、訴訟では行政機関とは根本的に異なる司法機関である裁判所が判断をしますし、後遺障害認定基準自身も行政におけるものと多少ずれていることがあります。

そこで、行政機関において後遺障害が認められないときにも、訴訟を提起することにより、後遺障害認定を受けられる可能性があります。

以上のようなことから、同じ後遺症が残っている場合でも、訴訟を上手に使える人は後遺障害認定を受けやすいですが、訴訟をしないで諦める方は認定を受けにくくなります。

時効や期間に配慮している

労災の申請には、時効があります。

後遺障害に関する障害補償給付は、基本的に労災事故発生後5年間です。

2年で時効になってしまう給付もあります。

そこで、後遺障害認定を受けたい場合には、必ずその期間内に申請を行わねばなりません。

また、労基署などの行政機関の判断に対する審査請求や再審査請求、訴訟提起についても期間制限が設けられています。

適切に後遺障害認定を受けるには、こうしたさまざまな期間制限をきちんと把握して、過ぎてしまわないように手続きを進める必要があります。

そうした適切な対応をとれる人は後遺障害認定を受けやすいですが、そうでない場合、認定申請すらできなくなってしまう可能性があります。

以上のように、労災で後遺障害認定申請をするときには、各場面で法的知識や専門的な対応が必要といえるでしょう。

後遺障害等級認定が確定したら、会社に対する慰謝料請求を検討する。

後遺障害等級認定が確定すると、等級に対応する労災補償を受けることができます。

しかし、労災補償だけでは、労働者が被った損害を全てまかなえるわけではありません。

労災事故により被った精神的な損害や後遺症や死亡事故により将来得られるはずだった逸失利益など、損害が残ってしまいます。

このような場合には、会社に対して、慰謝料など損害賠償請求をすることが可能となります。

会社と労働者との間には、労働契約がありますが、労働契約は、労働者が会社に対して労働力を提供し、その対価として給料を払ってもらう契約です。

会社は、労働者を働かせて利益を得るわけですから、労働者が安全に、事故などに巻き込まれないようにしなければなりません。

会社のこの義務を「安全配慮義務」といいます。

会社が安全配慮義務に違反した場合には、労働者は、会社に対し、慰謝料など損害賠償を請求することができるのです。

会社に対する慰謝料について詳しく知りたい方は、こちら。

労災事故の慰謝料の相場と慰謝料増額が見込める場合

ただし、損害賠償の請求については、法律的な専門知識が必要です。

弁護士に相談しながら進める方が良いでしょう。

そして、弁護士に相談依頼する時には、できる限り労災事故問題に精通した弁護士に相談依頼することをおすすめします。

なぜなら、弁護士にも得意不得意があるためです。

労災後遺障害で弁護士に相談すべき理由

労働災害(労災)に被災して、後遺障害等級が認定された場合には、被害者は大きな損害を被ります。

労災保険では、最低限の保障しかなされず、損害の全てをまかなうことはできません。

そこで、会社に対して慰謝料請求を検討することになりますが、その場合には、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談すべき理由は、次のとおりです。

(1)後遺障害等級が正しいかどうか判定してもらえる

労災認定における後遺障害等級は必ずしも正しいとは限りません。

しかし、労災の被災者が自分で後遺障害等級が正しいかどうかを判断するのは難しいでしょう。

なぜなら、後遺障害等級が正しいかどうかを判断するには、労災の後遺障害等級認定システムに関する知識や医学的知識が不可欠だからです。

そのため、後遺障害等級が認定された場合には、労災に精通した弁護士に相談することをおすすめします。

(2)審査請求や裁判を依頼できる

後遺障害等級が間違っている、という場合には、会社に請求できる慰謝料金額も大きく変わってきます。

そのため、正しい後遺障害等級を認定してもらう必要があります。

そのための手続が審査請求や裁判です。

これは、弁護士に依頼しないと難しいと思います。

これが労災事故を弁護士に相談するメリットの2つめです。

(3)会社との交渉を依頼できる

労災事故で会社に慰謝料請求をする場合、会社の上司や社長と交渉をしなければなりません。

これは、労働者にとって精神的にかなりの負担となります。

そこで、そのような交渉を法律に基づき、弁護士が窓口となって代わりにやってくれます。

このメリットも大きいのではないでしょうか。

(4)裁判で最大限の損害賠償金を請求できる

労災事故の後遺障害では、法律知識、判例の知識、後遺障害の知識、医学的な知識など、幅広く、深い知識が必要となります。

漏れがあると、本来獲得できる賠償金を得ることができなくなってしまいます。

労災事故に精通した弁護士に依頼すれば、これらを漏れなく裁判で請求してくれますので安心です。

当事務所では、労災事故について、死亡事故と後遺症事案に絞って専門性を高めています。

相談基準に該当する方は、ぜひ弁護士までご相談ください。
ここまで読んで、「まずは、弁護士に無料相談してみよう」と思った方は、こちらから。
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