労災事故被害者のための弁護士による労働災害SOS

労働災害(労災)で、失明してしまった場合の慰謝料額は?<弁護士解説>


労働災害(労災)で失明してしまった場合に、会社に対して損害賠償請求できるか、について解説したいと思います。

仕事の種類や、内容によっては、身体に怪我を負ってしまう場合があります。

業務に起因して怪我をしてしまった場合には、いわゆる「労働災害(労災)」になります。

特に現場作業などの場合には、よく注意しないと物が眼に入ったり、眼に刺さったり、ということで、失明してしまう場合があります。

当事務所にご相談いただく事例でも、機械を使用して削ったりする作業をしているときに、鉄や木、石の小さなかけらが眼にあたって失明してしまった、という事例がいくつもありました。

このような危険がある場合には、会社としては、当然危険が予想されるわけですから、安全教育を実施するとともに、その危険性について説明し、さらにゴーグルの着用や飛散防止装置を付けるなど、作業員の安全に配慮する義務があります。

そして、業務に起因して失明ということになれば労災認定がされ、労災保険から保険給付を受けることになりますが、失明によって、将来の仕事にも影響がでますし、受けた精神的損害から考えても、労災保険給付だけではとてもまかなえない損害が発生しています。

そこで、労働者が労働災害で仕事中に目に障害を負い、失明の後遺障害が残ってしまった場合に、会社に対して損害賠償できるかについて解説をしたいと思います。

そもそも、会社には「安全配慮義務」というものがあります。

これは、「労働者が労務提供のため設置する場所、設備もしくは器具等を使用し又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等を危険から保護するように配慮すべき義務」とされています(川義事件最高裁判決)。

労働安全衛生法24条でも、「事業者は、労働者の作業行動から生ずる労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない」として、安全配慮義務を規定しています。

会社が、安全配慮義務を怠り、それを原因として、労働者が労働災害(労災)により失明をしてしまった場合には、会社には安全配慮義務違反として、労働者が被った損害を賠償する責任が発生します。

では、この安全配慮義務違反で労働者が失明した場合、どうなるでしょうか。

まず、失明で認定される労働災害(労災)の後遺障害等級は、以下のようになります。

1級1号両眼が失明したもの
2級1号1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
3級1号1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
5級1号1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
7級1号1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
8級1号1眼が失明し、または1眼の視力が0.02以下になったもの

労災が認定された場合には、労災保険から保険給付を受けますが、失明で後遺障害等級が認定された場合には、この保険給付では損害のすべてを補填するのは難しいでしょう。

そこで、不足する損害については、安全配慮義務を怠った会社に対して損害賠償請求をしていくことになります。

過去の労働災害(労災)の事例で、どのような損害賠償がなされたか、ご紹介します。

横浜地裁平成19年6月28日判決

多摩川の堤防の草刈作業に従事していたアルバイト作業員が、他の作業員の刈払機が飛散させた石様の異物が左眼に当たって失明した労災事故。

作業員は、労災の後遺障害等級8級1号が認定されました。

そこで、作業員は派遣先の下請会社と元請会社に対し6589万5109円の損害賠償を求めて提訴しました。

判決は、派遣先の下請会社と元請会社の安全配慮義務を認めた上で、作業員が刈払機の刃で足を切るおそれがあるから刈払機による作業場所には近付かないようにと注意されたのみで、本件作業に伴う事故の危険性については教えられていないこと、ゴーグルの着用や刈払機による作業場所との間に確保しておくべき距離などについて何ら指示を受けないまま本件作業に従事していたことから、下請会社などが新規入場者教育や安全管理ミーティングなどの機会に周知徹底すべきものであったのに、その周知徹底を怠ったとして、安全配慮義務違反を認めました。

裁判所は会社らに対し、4794万4608円の損害賠償を命じました。

このように、労働災害(労災)で失明の後遺障害が残った場合には、労災保険給付だけでなく、会社に対して安全配慮義務違反を理由として損害賠償請求ができる場合があります。

ただし、使用者側から過失相殺の主張が出てくることがほとんどであり、その争いで賠償額が大きく変わってしまいます。

失明という後遺障害が残った場合には、その後の仕事に大きな影響があります。

将来もらえるはずだった収入を得られなくなることが多いと思います。

損害賠償額も高額となってきます。

したがって、適正な賠償額を得られるよう、後遺障害等級が正しいかどうか、正しい後遺障害を前提として損害賠償額が適正かどうか、について弁護士に相談することが大切です。

会社に損害賠償請求ができるのかどうか知りたい場合は、当事務所までご相談ください。

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