労働災害SOS|みらい総合法律事務所

上肢(肩・肘・手首・手指)の後遺障害

最終更新日 2011年 01月12日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠

上肢の後遺障害等級

上肢の欠損障害
1級6号 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
2級3号 両上肢を腕関節以上で失ったもの
4級4号 1上肢を肘関節以上で失ったもの
5級2号 1上肢を腕関節以上で失ったもの
上肢の機能障害
1級7号 両上肢の用を全廃したもの
5級4号 1上肢の用を全廃したもの
6級5号 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
8級6号 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
10級9号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級6号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
上肢の畸形障害
7級9号 1上肢に仮関節を残し、著しい運動障害を残すもの
8級8号 1上肢に仮関節を残すもの
12級8号 長管骨に畸形を残すもの
上肢の醜状障害
14級3号 上肢の露出面に手掌面大の醜痕を残すもの
手指の欠損障害
3級5号 十指を失ったもの
6級7号 1手の五指又は拇指を併せ四指を失ったもの
7級6号 1手の拇指を併せ三指又は拇指以外の四指を失ったもの
8級3号 1手の拇指を併せ二指又は拇指以外の三指を失ったもの
9級8号 1手の拇指又は拇指以外の二指を失ったもの
11級9号 1手の示指、中指又は環指を失ったもの
12級8の2号 1手の小指を失ったもの
13級5号 1手の拇指の指骨の1部を失ったもの
14級6号 1手の拇指以外の指骨の1部を失ったもの
手指の機能障害
4級6号 十指の用を廃したもの
7級7号 1手の五指又は拇指を併せ四指の用を廃したもの
8級4号 1手の拇指を併せ三指又は拇指以外の四指の用を廃したもの
9級9号 1手の拇指を併せ二指又は拇指以外の三指の用を廃したもの
10級6号 1手の拇指又は拇指以外の二指の用を廃したもの
12級9号 1手の示指、中指又は環指の用を廃したもの
13級4号 1手の小指の用を廃したもの
14級7号 1手の拇指以外の手指の末関節を屈伸することができなくなったもの
[備考]
・手指を失ったものとは、おや指は指節間関節、その他の指は近位指節間関節以上を失ったものをいう。

・手指の用を廃したものとは、手指の末節骨の半分以上を失い、又は中手指節関節もしくは近位指節間関節

(おや指にあっては、指節間関節)に著しい運動障害を残すものをいう。

上肢の後遺障害等級認定のポイント

上肢の後遺障害は、上肢(腕)の障害と手指の障害に区別されます。

上肢の欠損障害について

  1. 「上肢をひじ関節以上で失ったもの」

    「上肢をひじ関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

    ①肩関節において、肩甲骨と上腕骨を離断したもの
    ②肩関節とひじ関節との間において上肢を切断したもの
    ③肘関節において、上腕骨と橈骨及び尺骨とを離断したもの



  2. 「上肢を手関節以上で失ったもの」

    「上肢を手関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

    ①肘関節と手関節の間において上肢を切断したもの
    ②手関節において、橈骨及び尺骨と手根骨とを離断したもの

上肢の機能障害について

(1)「上肢の用を廃したもの」

「上肢の用を廃したもの」とは、3大関節(肩関節、ひじ関節及び手関節)のすべてが強直し、かつ、手指の全部の用を廃したものをいいます。
上腕神経叢の完全麻痺もこれに含まれます。

(2)「関節の用を廃したもの」

「関節の用を廃したもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

①関節が強直したもの
(ただし、肩関節にあっては、肩甲上腕関節がゆ合し骨性強直していることがエックスX線写真により確認できるものを含む)
②関節の完全弛緩性麻痺又はこれに近い状態にあるもの
「これに近い状態」とは、他動では可動するものの、自動運動では関節の可動域が健側の可動域角度の10%程度以下となったものをいう。
③人工関節・人工骨頭をそう入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/ 2以下に制限されているもの

(3)「関節の機能に著しい障害を残すもの」

「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

①関節の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの
②人工関節・人工骨頭をそう入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/ 2以下に制限されている以外のもの

(4)「関節の機能に障害を残すもの」

「関節の機能に障害を残すもの」とは、関節の可動域が健側の可動域角度の3/4以下に制限されているものをいいます。

上肢の畸形障害について

(1)「仮関節を残し、著しい運動障害を残すもの」

「仮関節を残し、著しい運動障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当し、常に硬性補装具を必要とするものをいいます。

①上腕骨の骨幹部又は骨幹端部(以下「骨幹部等」という)にゆ合不全を残すもの
②橈骨及び尺骨の両方の骨幹部等にゆ合不全を残すもの

(2)「仮関節を残すもの」

「仮関節を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

①上腕骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、上記に当てはまらないもの
②橈骨及び尺骨の両方の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、上記に当てはまらないもの
③橈骨又は尺骨のいずれか一方の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、時々硬性補装具を必要とするもの

(3)「長管骨に畸形を残すもの」

上肢の「長管骨に畸形を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

①次のいずれかに該当する場合であって、外部から想見できる程度(15度以上屈曲して不正ゆ合したもの)以上のもの
a. 上腕骨に畸形を残すもの
b. 橈骨及び尺骨の両方に畸形を残すもの(ただし、橈骨又は尺骨のいずれか一方のみの畸形であっても、その程度が著しいものはこれに該当する)
②上腕骨、橈骨又は尺骨の骨端部にゆ合不全を残すもの
③橈骨又は尺骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、硬性補装具を必要としないもの
④上腕骨、橈骨又は尺骨の骨端部のほとんどを欠損したもの
⑤上腕骨(骨端部を除く)の直径が2/3以下に、又は橈骨若しくは尺骨(それぞれの骨端部を除く)の直径が1/ 2以下に減少したもの
⑥上腕骨が50度以上外旋又は内旋畸形ゆ合しているもの
この場合、50度以上回旋畸形ゆ合していることは、次のいずれにも該当することを確認することによって判定すること。

a. 外旋畸形ゆ合にあっては肩関節の内旋が50度を超えて可動できないこと、また、内旋畸形ゆ合にあっては肩関節の外旋が10度を超えて可動できないこと
b. エックスX線写真等により、上腕骨骨幹部の骨折部に回旋畸形ゆ合が明らかに認められること

手指の欠損障害について

(1)「手指を失ったもの」

「手指を失ったもの」とは、「母指は指節間関節、その他の手指は近位指節間関節以上を失ったもの」とされており、具体的には、次の場合がこれに該当します。

①手指を中手骨又は基節骨で切断したもの
②近位指節間関節(母指にあっては指節間関節)において、基節骨と中節骨とを離断したもの

(2)「指骨の一部を失ったもの」

「指骨の一部を失ったもの」とは、1指骨の一部を失っている(遊離骨片の状態を含む)ことがエックスX線写真等により確認できるものをいいます。(後記5(1)に該当するものを除く)。

手指の機能障害について

(1)「手指の用を廃したもの」

「手指の用を廃したもの」とは、「手指の末節骨の半分以上を失い、又は中手指節関節若しくは近位指節間関節(母指にあっては指節間関節)に著しい運動障害を残すもの」とされており、具体的には、次の場合がこれに該当します。

①手指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの。
②中手指節関節又は近位指節間関節(母指にあっては指節間関節)の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されるもの。
③母指については、橈側外転又は掌側外転のいずれかが健側の1/2以下に制限されているものも、「著しい運動障害を残すもの」に準じて取り扱うこと。
④手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚が完全に脱失したものも、「手指の用を廃したもの」に準じて取り扱うこと。
このことは、医学的に当該部位を支配する感覚神経が断裂し得ると判断される外傷を負った事実を確認するとともに、筋電計を用いた感覚神経伝道速度検査を行い、感覚神経活動電位(SNAP)が検出されないことを確認することによって認定すること。
注)感覚の完全脱失とは、表在感覚のみならず深部感覚をも消失したものをいう。

表在感覚のみならず、深部感覚をも完全に脱失するのは、外傷により感覚神経が断裂した場合に限られる。

(2)「末関節を屈伸することができないもの」

「末関節を屈伸することができないもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

①末関節が強直したもの
②屈伸筋の損傷等原因が明らかなものであって、自動で屈伸ができないもの又はこれに近い状態にあるもの

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