労働災害SOS|みらい総合法律事務所

頸椎・胸椎・腰椎の圧迫骨折等による後遺障害

最終更新日 2011年 01月20日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠

頸椎・胸椎・腰椎の圧迫骨折等による後遺障害等級

脊椎の変形又は運動障害
6級4号 脊柱に著しい畸形又は運動障害を残すもの
8級2号 脊柱に運動障害を残すもの
11級5号 脊柱に変形を残すもの

頸椎・胸椎・腰椎の圧迫骨折等による後遺障害のポイント

脊柱の変形障害について

せき柱の変形障害については、上記の「せき柱に著しい変形を残すもの」「せき柱に変形を残すもの」に加え、新たに第8級に準ずる障害として取り扱う「せき柱に中程度の変形を残すもの」の3段階に区別されています。

「せき柱に著しい変形を残すもの」及び「せき柱に中程度の変形を残すもの」は、せき柱の後彎又は側彎の程度等により等級を認定します。

この場合、せき柱の後彎の程度は、せき椎圧迫骨折、脱臼等により前方椎体高が減少した場合に、減少した前方椎体高と当該椎体の後方椎体高の高さを比較することにより判定します。

また、せき柱の側彎は、コブ法(※)による側彎度で判定します。

※コブ法とは、下図のとおり、X線写真により、せき柱のカーブの頭側及び尾側においてそれぞれ水平面から最も傾いているせき椎を求め、頭側で最も傾いているせき椎の椎体上縁の延長線と尾側で最も傾いているせき椎の椎体の下縁の延長線が交わる角度(側彎度)を測定する方法です。



(1)「せき柱に著しい変形を残すもの」

「せき柱に著しい変形を残すもの」とは、X線写真、CT画像又はMRI画像により、せき椎圧迫骨折等を確認することができる場合であって、次のいずれかに該当するものをいいます。

  1. せき椎圧迫骨折等により2個以上の椎体の前方椎体高が著しく減少し、後彎が生じているもの。

    この場合、「前方椎体高が著しく減少」したとは、減少したすべての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さ以上であるものをいうこと。
  2. せき椎圧迫骨折等により1個以上の椎体の前方椎体高が減少し、後彎が生ずるとともに、コブ法による側彎度が50度以上となっているもの。

    この場合、「前方椎体高が減少」したとは、減少したすべての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さの50%以上であるものをいうこと。

(2)「せき柱に中程度の変形を残すもの」

「せき柱に中程度の変形を残すもの」とは、X線写真、CT画像又はMRI画像によりせき椎圧迫骨折等を確認することができる場合であって、次のいずれかに該当するものをいいます。

  1. せき椎圧迫骨折等により1個以上の椎体の前方椎体高が減少し、後彎が生ずるとともに、コブ法による側彎度が50度以上となっているもの。

    この場合、「前方椎体高が減少」したとは、減少したすべての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さの50%以上であるものをいうこと。

  2. コブ法による側彎度が50度以上であるもの。

  3. 環椎又は軸椎の変形・固定(環椎と軸椎との固定術が行われた場合を含む。)により、次のいずれかに該当するもの。

    このうち、a及びbについては、軸椎以下のせき柱を可動させずに(当該被災者にとっての自然な肢位で)、回旋位又は屈曲・伸展位の角度を測定すること。

    a. 60度以上の回旋位となっているもの
    b. 50度以上の屈曲位又は60度以上の伸展位となっているもの
    c. 側屈位となっており、X線写真等により、矯正位の頭蓋底部の両端を結んだ線と軸椎下面との平行線が交わる角度が30度以上の斜位となっていることが確認できるもの


(3)「せき柱に変形を残すもの」

「せき柱に変形を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

せき椎圧迫骨折等を残しており、そのことがX線写真、CT画像又はMRI画像により確認できるもの

  1. せき椎固定術が行われたもの(移植した骨がいずれかのせき椎に吸収されたものを除く)

  2. 3個以上のせき椎について、椎弓切除術等の椎弓形成術を受けたもの

脊柱の運動障害について

(1)「せき柱に著しい運動障害を残すもの」

「せき柱に著しい運動障害を残すもの」とは、次のいずれかにより頸部及び胸腰部が強直したものをいいます。

  1. 頸椎及び胸腰椎のそれぞれにせき椎圧迫骨折等が存しており、そのことがX線写真等により確認できるもの
  2. 頸椎及び胸腰椎のそれぞれにせき椎固定術が行われたもの
  3. 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの

(2)「せき柱に運動障害を残すもの」

「せき柱に運動障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

  1. 次のいずれかにより、頸部又は胸腰部の可動域が参考可動域角度の1/2以下に制限されたもの

    a. 頸椎又は胸腰椎にせき椎圧迫骨折等を残しており、そのことがX線写真等により確認できるもの
    b. 頸椎又は胸腰椎にせき椎固定術が行われたもの
    c. 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの
  2. 頭蓋・上位頸椎間に著しい異常可動性が生じたもの

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